先日、北海道洋菓子作品コンテスト大会学生部門が開催されました。
今回は安全に考慮し当初予定していた一般公開は中止、審査はオンラインで行われました。
学生のみなさん、本当にお疲れ様でした!
今年も大変光栄なことに審査員として選出して頂きまして、
とても楽しく拝見させて頂きました。ありがとうございます。
技術指導部の作品展示は一般公開の中止に伴い無くなってしまいましたが、
コロナ禍でのコンテストで自宅で作品作りをされる学生さんも多いと耳にしておりましたので、
コンテスト初めての方に進め方の目安と、
共に作っていますよ~!という励みになれば嬉しいな、と思い
Instagramのストーリーにてちょこちょこ投稿させて頂いておりました。
今回学生さん限定のコンテストということで、私が専門2年生のときに作った作品をリメイクしました。
テーマは『Happy Birthday!』です。

学生の頃の作品
改めて見るとすごくシンプル。
これでもとっても一生懸命作っていました。お恥ずかしい…!
この年は初めてジャパンケーキショーに見学に行って
エコール部門の作品を見て「同年代の子がこんなにレベルの高い作品を作っているんだ!!」と衝撃を受けたことを覚えています。

そしてこちらが今回制作したもの
前作をベースに、作品全体をバースデーケーキに見立てて作りました。

もし女の子にプレゼントするならどんなケーキだと喜んでくれるかなと考えていたら、
どんどんラブリーになっていきました。笑
私はたくさんのパーツをバランスよく盛るのが苦手なので、
少ない数のパーツでも一つ一つを丁寧に表情豊かに作るように心がけています。
カラフルで細かくて綺麗にまとまっている作品を見るとすごく憧れます。
とはいえ少ないパーツで構成すると、デコレーションが寂しくならないようサイズ感が大きくなってしまいがちです。
ごろんごろんとした重たい印象にならないよう、
吹き抜ける空間を意識して制作するようにしています。
たとえば今回の作品のフレジェは中心に配置してありかなり存在感がありますが、向こうが透けて見えるように工夫しています。
ガーベラとガーベラの上下にできた隙間も小さなお花や葉っぱで埋めたりせずにあえてそのままにしています。
私はファンタジーな思考が乏しいので、
ちょこちょこ考えをイラストにおこしたり簡単に試作して合わせてみたりと、自分の目で見て考えながら作品を作り上げていきます。
この作品も最終形態に至るまで色々試行錯誤しました。

プレートの色は初めクッキーぽく薄茶色を敷いてみましたが、お花がくすんで見えたりケーキらしさが薄れてしまったように感じたので、薄いクリーム色から黄色へのグラデーションに変更しました。
あまり冒険出来ない性格なので無難な色を選びがちです。

こちらはバースデーケーキらしくキャンドルを立ててみました。
可愛いけどくまや他のパーツと被るかな?
画面越しではなく直接作品を見てもらえるのであればサイズや配置を変えて立てていたかもしれません。
今回は写真がメインなので外しました。

そしてサイドのフリル
無心で3時間くらいかけて付けましたが、想像より土台の側面が隠れてしまったため思い切って外してしまいました。せっかく頑張って施したカバーリングは見てほしい…!
サイドはいつも何をつけるかすごく迷ってしまいます。
考えて考えて時間が無くなってしまうので正直おざなりになりがちです。
ですが、コンテストで良い結果を頂けるときはサイドもしっかり作り込むことの出来た作品のときなので、やはり手を抜いてはいけないところです。

最終的にサイドはこんな感じになりました!
万能なお花&リボンと、フルーツとチョコをイメージした飾りです。
最初はより『ケーキ』感を出すためにクリームの装飾にしてみたかったのですが、なかなか思うようにまとまらず断念。
学生の頃は出来ることが少なすぎて初めに考えたデザイン通り只々ひたすらに一生懸命作っていましたが、現在は作っている最中にこっちの方が面白いかも!と色々考えてしまいだいたいデザイン通りになりません。笑
メインカラーも黄色だったはずが赤色に…
今回の作品もまだまだ改善できるところはありますが、一生懸命作り上げたのでこれで満足です。
コンテストではいつも新しい技術やデザインを探求しながら制作しています。
作品を作る度に出来ることが少しずつ増えていき、それがまた次の作品に活かされていきます。
コンテストは審査員の好みで結果が左右されるので、私が大切に思っていたことがそんなに重要ではなかったり意識してやったことが審査員によっては逆効果に感じたりすることも大いにあり得ます。
なので、
『入賞のために』と作ることも大切ですが
『楽しんでもらうために』作ることをいつも心がけるようにしています。
見る人がわくわくして自然と笑顔になれることが、ケーキ装飾の大きな意味だと思うんです。
これからも技術や感性を磨いて、人の心に残る素敵な作品を作れるようマジパン細工を続けていきたいと思います。
長文になってしまいましたが、
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
今年は状況が良くなり地方大会やジャパンケーキショーが無事開催されますことを願っています。
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